磁石の中で自然と現れる「止まった波」 -超放射相転移が起こる磁石を発見-

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 葛饰北斎は大波が立ち上がった迫力の瞬间を、见事な笔致で写し取りました。现代では、そのような瞬间を写真として简単に残すことができます。しかし、自然の中で波は移ろいゆくものであり、「止まった波」が実际に现れることはないというのが常识です。その常识に反するように、温度が下がっていくと电磁波が「止まった波」として自然と现れる、超放射相転移と呼ばれる现象が1973年に予言されていました。その后约50年にわたる研究者たちの努力にもかかわらず、常识を覆すこの现象の観测に成功した例はこれまでありませんでしたが、この度、エルビウムオルソフェライト(贰谤贵别翱3)と呼ばれる磁性体(磁石)の中で超放射相転移が初めて确认されました。

 馬場基彰 白眉センター特定准教授、Xinwei Li ライス大学博士課程学生(現?カリフォルニア工科大学博士研究員)、Nicolas Marquez Peraca 同博士課程学生、河野淳一郎 同教授の研究グループは、ErFeO3の実験データから理论モデルを构筑し、约4ケルビン(マイナス269度)で起こる相転移が、磁気的な波が止まった形で自然と现れる超放射相転移であることを见いだしました。この磁気的な波は、超放射相転移が起こった际に、特殊な量子论的な状态となることが知られています。今后、本研究で得られた知见をさらに発展させることによって、量子センシングや量子コンピューティングなどの量子技术への応用が期待されます。

 本研究成果は、2022年1月10日に、国際学術誌「Communications Physics」にオンライン掲載されました。

本研究の概要図
図:本研究の概要図
研究者情报
研究者名
馬場 基彰
书誌情报

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Motoaki Bamba, Xinwei Li, Nicolas Marquez Peraca, Junichiro Kono (2022). Magnonic superradiant phase transition. Communications Physics, 5:3.

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